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日本のオーケストラにとって解決すべき課題? [雑感・出来事]

 昨日のN響岡山公演の記事のアクセス数が増加していて、恐らく何度も繰り返し訪問して下さっている方が多いようです。
 このコンサートの感想は書かないことに決めていますが、N響の演奏が悪かったわけではありませんので、一応おことわりをしておきます。

 なぜ感想を書かないのか、理由を説明します。

 「音楽の友」の今年の1月号、大フィル首席指揮者として井上道義氏のインタビューが掲載されていました。

 その中に「日本のオーケストラにとって解決すべき課題は?」という質問があり、答えの一つとして『ネットでグチャグチャ書く人間に、まず顔を提示してから書くシステムをつくっていただきたい』という発言がありました。

 私は匿名でブログを書いているので、まさに井上氏の批判の対象である「ネットでグチャグチャ書いている」人間にあたるわけですが、とはいえ長年、地方都市の狭い世界の趣味でブログを書いていると、地元の岡山では関係者に名前も職業も顔も割れていますし(地元の新聞社の記者さんから取材の申し入れがあった事もあります)、感想に関して匿名という立場に任せて無責任に書いているつもりは全くなく、一定の責任を感じながら書いています。

 一方で、多くのブロガーさんがそうだと思いますが、実名にしてしまうには仕事などで色々しがらみがあるんです。例えばコンサートに行くために、繁忙期に同僚にお願いして定時に職場を出させてもらったり、得意先との打ち合わせを早めに切り上げてもらったり、軋轢が起きかねない局面を丁寧に収めながら足を運んでいるわけです。

 今の日本のような不寛容社会では、実名でブログを書くと言うのは、それなりのリスクがつきまとう。匿名で書くというスタンスを守っていれば、実際には誰が書いているのか分かっている人がいても、色々穏便に事が運ばれるわけです。
 ましてやコンサートの感想なんて、自分の仕事に還元されるものは何もない訳で、1円の得にもならない。ただただ純粋に娯楽の範疇で書いている。

 コンサートに通っている人々は、日時と場所を指定されて、そこに「わざわざ足を運ぶという手間」と、立ちはだかる日常の様々なしがらみを払いのけて足を運んでいる。ブログに感想を書くのだってエネルギーが要る。その楽団やクラシック音楽という趣味に思い入れが無ければ到底続かない。もちろんこれは自分が望んでやっていることですが、コンサート興業を生業にしている方々には、そういった想像力を働かせて欲しいな(ほとんどの音楽家は充分に理解されているとは思いますが)、と思います。そうすれば「ネットでグチャグチャ書く人間」なんていう発想にならないですよねぇ。

 一方で、井上氏が指揮者としての作り出す音楽世界には、私も魅了されている一人ですし、自分と考え方が違うからと言って、音楽的感動を得られる確立の高いコンサートに足を運ばない手は無い。

 となれば答えは一つ。業界で最も権威のある雑誌に本人が、「日本のオーケストラにとって解決すべき課題」として、意見が表明されたこと。その意思を尊重し、『いい演奏であろうが、そうでもない演奏であろうが、井上道義氏が指揮したコンサートの感想を書かない』。そう決断しました。


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伊閣蝶

「コンサートに通っている人々は、日時と場所を指定されて、そこに「わざわざ足を運ぶという手間」と、立ちはだかる日常の様々なしがらみを払いのけて足を運んでいる。ブログに感想を書くのだってエネルギーが要る。その楽団やクラシック音楽という趣味に思い入れが無ければ到底続かない。」

正しくその通りと思います。
ヒロノミンVさんは、実演を中心に大変貴重な記事を配信されていて、それ故に地元では「面が割れてしまう」可能性も高いのでしょう。
そうしたことから起きる軋轢をおして発信を続けられていることに改めて敬意を表します。
井上道義氏とは、私も顔見知りですが、このようなことを公言してしまう態度にはがっかりさせられました。
by 伊閣蝶 (2016-12-07 12:24) 

ヒロノミンV

>伊閣蝶さん
 なんということでしょうか、顔見知りとは驚きました。
 井上さんの音楽で、何度も感動したことがありました。しかし、大フィルとの首席指揮者のコンビでは、ここには書いていませんが不愉快な事が多くありました。
 今後は一定の距離を置いて、関わっていただければと思います。
by ヒロノミンV (2016-12-07 21:59) 

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