SSブログ

岡山シンフォニーホールでの3階席閉鎖公演について [クラシック雑感]

 前回、「もう一つの要望」と書いてから時間が経ってしまいましたが、ブルノ・フィルのコンサートで感じたこと。それはタイトルの通りです。
 当日のコンサートでは、チケットの売れ行きが芳しくないことを事前に予測されていたようで、3階席を閉鎖していました。このホールではよくあることなんですが、そうすることによって主催者への貸館料をディスカウントすることができるようです。しかし、このことがコンサートを楽しむ上での大きな欠陥を生み出していることをホールの関係者はご存知なのだろうか?

 
1.オーケストラコンサートの致命傷になりかねない「エコー現象」が生じる、3階席全面閉鎖の措置は、即刻やめるべき
 以前にも指摘したことがあるんですが、広大な三階席の空間に反響音が滞留して、「エコー」現象が起きているんです。
 エコーとは「やまびこ」という名のとおり、全体の反射音とは分離し時間差で音が聞こえてくる音響障害で、音が1~2秒の時間をかけて徐々に減衰する、いわゆる「残響」とは違います。
 実際、どのような現象が起きていたかというと、バルコニー席で聴いているとよくわかるんですが、ステージで鳴っている音が、そのままコンマ5秒遅れの時間差で3階席の空間からも聞こえてくる。一番しんどいのは大音量のトゥッティーがバシッと決まり、繊細な弱音に移っても、まだ大音量のトゥッティーが3階席でこだましているんです。これは聴き手にとっては興ざめなことです。
 もともと岡山シンフォニーホールの音響は、ほとんど非の打ちどころの無い素晴らしいもので、故サヴァリッシュ氏やブロムシュテット氏をはじめ、著名な音楽家の絶賛を浴してきました。音響設計は、世界的に評価の高い永田音響設計が手掛け、多目的に使える(完全なクラシック専用ではない)ホールの中での永田音響の傑作の一つに数えられています。
 しかし、これは各階にある程度のお客さんが着席している状態で理想の音響となるように設計されているもので、3階席をまるまる空席にした状態なんていう使い方でカスタマイズされているわけではない。
 3階席を空席にするのは、お客さんの立ち入りを禁止することによって①ホール内・フロア・トイレなどの清掃コスト、あるいは、②イスや床などの摩耗コスト、これらがかからない、という名目によって、貸館料をディスカウントするためのものだと思われます。
 しかし客を立ち入り禁止にすることによる摩耗やコストなんて微々たるもの、それによってせっかくの一期一会の音楽体験が、防止可能な音響障害によって台無しになるのは本末転倒ではないでしょうか?
 

2。貸館料の関係で、使用席数の制限を掛ける時は、徹底的に顧客目線に立って、音の悪い席から閉鎖し、音の良い席は開放すべき
 もし座席制限でディスカウントをするなら音響や視覚的にハンデのある
 ・2階席後方ブロック
 ・3階席後方ブロック
 ・1階バルコニー席2列目
 を使用禁止にしてディスカウントすればいいんです。今回、皮肉にも、このホールで唯一音が届きにくい(僕ならまず選択しない)2階後方ブロックが一番席が埋まっていたんですよね(1番価格が安いB席に指定されていますから)。
 逆に、閉鎖されていた3階席の前3列は、よくブレンドされた音が上がってきて、非常に良質な音響で聴ける席なんです。音の悪い2階の後方席に押し込められた人が、もしブルノ・フィルの柔らかいハーモニーを3階席前列で聴くことが出来れば、このコンサートの満足度はもっと向上したことでしょう。
 ホールの関係者の皆様、ぜひご検討を!

nice!(3)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 3

コメント 2

ぐすたふ

そうなんですか。逆に、どんな風なのか聞いてみたい気持ちもします(すみません)。

客席に毛布をかけるなどで対応できるような気もしますけどねえ。
by ぐすたふ (2015-11-21 00:54) 

ヒロノミンV

>ぐすたふさん
 本文では説明不足でしたが、このエコーが生じるのは、1階席・2階席前列がある程度(4割から5割程度)埋まっている状態で、かつ3階席に誰も座っていない状態で、顕著に起こるようです。
 大学オケのコンサートで1・2階席が8割程度埋まっていて、3階席閉鎖、の状態ではここまで顕著ではなかった(でも、弱いエコーが起こってはいます)。毛布を置くのも有力な対策の一つですが、3階席最前列はたいへん音がいい席なので、前3列だけでも埋めるようにするのがベストだと思っています。
by ヒロノミンV (2015-11-21 18:01) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0