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ももちゃりを利用してみた(考察編) [岡山]

 前回のエントリーで、ももちゃりを使ってみての感想を書きました。個人的には非常に面白い試みだとは思いますが、はっきりと問題点も見えている気もします。

 まず、市街地にやって来る人を分別してみると

①市外からの観光客・出張者など
②半径2km以内の市街地在住の市民
③半径2~5km圏内の準郊外(高島、原尾島、大安寺、今、など)在住の市民 
④半径5km圏外の郊外在住の市民
⑤市内に勤めている人

などに分けられます。

 このももちゃりの導入で、無条件に恩恵を受けるのは①、⑤。実際に、ビジネスユースやカメラを持った観光客風の人はよく見かけました。
 ②は、自分のように『今は無料だから使ってみる』という人は利用しているでしょうが、基本料金がかかるようになると、自分の自転車で移動するようになるでしょう。

 ももちゃりのターゲットとしては③~⑤の人の利用が増えてくれれば・・・というところでしょうが、車社会が根深く定着した岡山では、何か抜本的な取り組みが無いと難しいのではないかと思います。
 まずは郊外から市街地へやって来る流れを、車から公共交通機関へシフトさせるような政策誘導が必要。山陽本線一つとっても、15年ほど前は1時間に4本の普通列車+快速サンライナーが1時間に2本の本数が走っていましたが、日中の快速は廃止され、普通列車も1時間に3本程度まで減便している。要するに電車に乗って移動する人が居なくなっているのです。ここから改善していかないと、ももちゃりの導入目的の一つである「自動車依存社会からの脱却」の端緒も掴めません。
 それに加えて、ももちゃりが市街地の公共交通網に打撃を与えかねないということ。岡山市は岡山駅周辺と表町という2つの都心があり、その間の移動手段として岡電や各路線バス会社が担ってきたわけですが、ももちゃりの登場で、公共交通機関とバイクシェアリング(ももちゃり)が競合し、公共交通網の弱体化につながる危険性すらあります。

 もう一点、郊外から都心へ車でやって来て、その都心の内部回遊にだけ「ももちゃり」を利用する、という使われ方も考えられます。自分が思ったのは、例えばイトーヨーカドーは1000円以上買い物をすると3時間駐車料金が無料になるのですが、ショッピングモールまで車でやって来て、そのあとは「ももちゃり」で他の用事を済ませる・・・という使われ方もあり得る。イトーヨーカドーは休日になると駐車場が満車になるので、ルール違反ではないにせよ、こういう利用のされ方は痛手になるかもしれませんし、『クルマ依存社会からの脱却』とは逆の現象が起こります。 

 こういった問題点を解決するには、市街地へ向かう公共交通網の再編・再整備を同時進行で行い、市内へ流入する人口の『パイ』を増やすこと。車の流入をあるていど規制し、大きくなったパイを交通機関とバイクシェアが分け合うような形に持って逝く必要がある。岡山市も当然、そんなことは分かっている・・・と思いたいですが、この『ももちゃり』も政策的な広がりの中から生まれてきた、という印象はあまり感じないのです。

 前回エントリーに、富山市在住のとしゆきさんからコメント頂きましたが、富山市のコンパクトシティ構想のように、公共交通機関の利便性向上と合わせて、都市設計を見直し、岡山市の将来像を見据えたうえで、「ももちゃり」にどういった機能を担わせるのか?同時に、岡電や市内のバス路線網、あるいは自家用車の乗り入れ規制なども含めて、一体的に考えるべきなのは明白。
 こういった市民団体⇒(公共の交通ラクダさんのHP)の力を借りれば、岡山の潜在能力をもってすれば、すぐにでも取り掛かれそうなもんですが・・・、たま駅長で和歌山電鉄を再生したのも、岡山の両備グループなわけですし・・・。あとは市役所次第という気がします。

 岡山の市街地も、都心回帰によるマンション建設ラッシュで、通りを歩く人もだいぶ増えました。それに加えて、市民団体や民間の企画するイベント(「ハレノミーノ」のような・・・)で、年々活気が出てきている感があります。

 郊外の巨大ショッピングモールでも、生活の用は足りますが、中心市街地には『歴史』と『文化』と『多様性』が息づき、何かが生まれる土壌のようなものがある。
 博物館・美術館や後楽園、岡山シンフォニーホールやルネスホールなどのイベント施設など、いっそう活用されるべきインフラも整っています。

 個人的には岡山フィルを中心とした、音楽面からの文化振興にいっそう期待したいところですが。

 岡山市の今後の活性化策、次なる一手に期待したいと思います。どうしたらいいのか?

 実は・・・ESDユネスコ世界会議が終わったら、こういった取り組みも尻すぼみになるんじゃないか・・・?、という気がしています。色々前科が多い岡山市だけに。そこらへんも含めて一市民として注視していかないと・・・ 


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謎のお局

広島でも試験的に『のりんさいくる』というバイクシェアの取り組みを
していたようなのですが、あまり市民に知られることもなかったようで
結局3000万円以上の赤字で終了したようです。
車社会・自転車で移動可能な人はすでに所有している、となると
なかなか厳しかったのかもしれません。
地方都市はどこもまず車移動ありきですもんねー。
でも、岡山の街なみは自転車で流すにはとても魅力的だと思うので
期待したいなと思います。

個人的な記憶では、岡山の自転車乗りはみなダッシュがすごかった!
信号が変わると同時にすごい勢いで飛び出してゆく姿が印象的でしたね(笑)


by 謎のお局 (2013-08-29 19:26) 

ヒロノミンV

>謎のお局さん
 広島でもバイクシェアの取り組みがあったんですね。赤字で終わっちゃいましたか・・・。バイクシェアというのは、見るからに環境にも優しく、エコな印象がありますが、その実、10何キロもある自転車をトラックで運搬し、どのポートにも自転車を常に揃えておくコストがかかります。
 せっかく岡山市がやる気になっているので、本文では書きませんでしたが、ニューヨークのように何千台規模でやっていかないと、コストダウンは難しいと思います。
 広島は、縦横無尽に広電が走っているので、今でも充分エコタウンですよね。駅前大橋線が開通したら、所要時間も劇的に短縮されそうですし・・・。岡山が目指すべきはお隣の広島だと思います。
by ヒロノミンV (2013-08-29 20:09) 

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